このコーナーは診療を離れて・・・というスタンスで始めましたが、今回は「診療中の面白いエピソード」をご紹介したいと思います。

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小児科の楽しいところは、こどもたちがどんどん成長していくことです。その成長過程でも特に、言葉が増え始める1歳半から2歳くらいはとても面白いことをいいます。A君は診察が終わると必ず、「ありとこましたー」と言ってくれます。きっと「ありがとうございました」です。K君は診察後、「いいお顔して」というと、くしゃっと笑ってくれます。最近は帰りに「げんきー」と片手をあげてポーズをとってくれます。

 

essay14-2幼稚園くらいになると、別のおもしろさがあります。Kちゃんはおしゃべりがとまりませ ん。家のこと、お姉ちゃんのこと、幼稚園の出来事、はたまた昨日の夕飯のおかずまでおしえてくれます。とてもにぎやかで、家の中でも太陽の様でしょう。I 君。診察のあと、おかあさんが「なにかいうことあるんじゃない?」とうながしました。たいていこういうときは、「ありがとうございました」と言わせたく て、お母さんたちはこういうのです。でもI君。困った顔をして大きな声で「ごめんなさい!」診察室は大笑いになりました。おかあさんも「日ごろの生活がば れますね」と笑っておられました。この「何かいうことあるんじゃない?」の返事はほかにもあります。Y君は「ごちそうさま」でした。

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Mちゃんは、家以外のところでトイレが使えない・・とおかあさんから相談を受けました。だから、外出は紙おむつをするんですと。ちょうどその日はのんび りしていたので、一緒に「のびのび」のトイレを使うことにしました。怖くないよと、一緒に入って「おしっこ、こいこい」といっていると、おしっこがちょろ ちょろ出てきて、やっと家以外のトイレが使えると自信がつきました。それ以来、来るとパンツをみせてくれます。「ほら、今日はこのパンツ」「かわいいね え」ちょっと変な会話ですが、女性同士なので許されるかな?

 

essay14-4小学生になると、ちょっと会話も変わります。学校行事のことや部活のことをよく話題にします。そしてもっとよく聞くのが「今日の宿題何?」「もう宿題終 わったの?」よく考えると、診察にくるような体調なのですから、宿題は免除なのかもしれません。でも、ついつい老婆心、いえいえ母心で聞いてしまうんだな あ。きっと大きくなったら「僕の小児科医は、宿題やったの?とうるさいおばさんだったなあ」と思い出してくれるでしょう。

 

( 200 7.1.10)