このコーナーでは、医療を少し離れて、自分自身のことや身の周りの出来事についてお話ししようと思っております。

今回は・・・「こびとづかんについて」essay31-1

みなさん、「こびとづかん」って知っていますか?
子どもたちの間でとても はやっています。
以前から知ってはいましたが、私から見るとあまりかわいくないので「知らないふり」してました。しかし、このたびちょっとした出来心で1冊本をクリニックにおいてみました。するとすると・・・やはりの、大人気。

職員がマグネットも買ってきてくれ、診察室につけてありました。
診療の合間にこどもたちにきいてみます。
「これかわいい?」
100人中100人の子どもがかわいいといいました。
これは本当にびっくりです。
だって・・・知ってますか?
かわいくないの。きもちわる・・・・・いえいえ何もいいません。

essay31-2
さてこの「こびと」で失敗しました。
4歳の喘息フォローの男の子。
おしゃまでぽっちゃりしててとてもかわいらしい。当院の人気者です。
その子がある日の診療でいいました。
「ぼくのこっち(左)のお耳にこびとがいるの」
てっきり、例の「こびと」と思い、話を合わせます。
「おおきいこびと?」
「ちいさいこびとだよ」
「たくさんいるの?」
「ひとり」
「なにしてるの?」
「おはなししてる」
その日はたくさん話して終わりました。
ところが、3日後の受診でおかあさんから衝撃の事実をききます。
「夕べすごく左耳を痛がり、今日耳鼻科へ行ったら中耳炎でした」・・・・・!!!

そうか。耳の違和感を「こびと」といっていたんだね。
ひとりのちいさいこびとが、どんどんおおきくなりおおあばれしたようです。
なぜあのときちょっと耳鏡(耳の中を見る道具)で覗こうと思わなかったのか?
おもしろがっている場合ではありませんでした。
本当に不覚です。
ごめん、ごめん。痛い思いをさせてしまいました。

ということで、やはり「こびと」は好きではありません。
でもこどもたち、大好きなのでまた本を増やしました。
楽しんで読んでください。
わたしもときどきながめているうちに好きになってくるでしょうか?・・・・

(2012.3.25)

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