このコーナーでは、医療を少し離れて、自分自身のことや身の周りの出来事についてお話ししようと思っております。

 

今回は「親知らず」のお話。essay25-1
6月後半わたしはひどいことになっていました。というのも、「最後の1本」の親知らずを抜いたのです。数年前に抜いたとき、「最後の1本」は横向きに生えているので頭がしっかり出ることはありません。といわれていました。確かに外には出てきませんでしたが、時々存在を主張し、不都合に思っていました。今が抜きどきかなとも思い、決心したわけです。

金曜日の昼休みに抜いてもらいました。止血が出来ず、直後からパンパンに腫れていやな感じではありました。その日から、はじめてマスクをつけての診察(仕事)です。
小児科医は、耳と口と鼻と目と手で仕事をしています。耳で聞き、目で見てさわり、匂いをかいでしゃべるわけです。ですから、わたしはインフルエンザの時期もまずマスクはしません。その私がマスク!!です。おまけに痛くてうまくしゃべれない。口の中に麻酔を塗りながらがんばりました。しかし4日たっても腫れは引くどころか、ますますパンパンに。
やっとおかしいことに気づきました。
そう、感染を起こしていたのです。

essay25-2
それから毎日口腔外科へ「洗浄、消毒」に。
10日目にやっと終わりが見えてきました。
細菌感染はおそろしい。身をもって経験しました。

周囲の反応は・・というと。
実家の親は「いい経験になったね。これで患者さんの痛みがわかるでしょう」
息子は「おかめ納豆のおかめは歯を抜いた後だったのか?」
夫は腫れて青くそして黄色くなっていく頬をみて「DVと思われるかな?」
いえいえ、日頃の素行から決して誰もそんなことは思いません。
むしろ血の気の多い私が喧嘩を買ったか、自損か、勘ぐられるのがおちです。essay25-3

なんにせよ、「最後の1本」最後まで存在を主張してくれました。
最後でよかった・・・・・・
のびのびこどもクリニック
村松明子

 

(2010.6.30)