このコーナーでは、医療を少し離れて、自分自身のことや身の周りの出来事についてお話ししようと思っております。

先日、こんな相談を受けました。3歳のお子さんです。

「5ヶ月から保育園に通い3年通園しました。この4月から家の事情で幼稚園に入園させました。2 ヶ月たちますが幼稚園がいやで、毎朝毎晩おなかが痛くなります。保育園の時にはこんことはありませんでした。」と。

伺ってみると、大変教育熱心な厳しい幼稚園で、バス通園中、バス内でのおしゃべり禁止。この子は1 時間半乗っています。給食の食べられない子は廊下に出されて「特訓?」です。規則はきちんと守らなくてはいけません。
お母さんはここまでとは知らず、入れてみてびっくり。そして戸惑いと疑問を感じています。
お母さんは私に聞きました。「3歳の子がこんなにがまんしなくてはいけないのでしょうか?」
私の答えはこうです。「おかあさんが、その方針に賛成していないのなら替わることを考えられたらいいです。おかあさんが納得しているなら、今のままがんばってもらいましょう」
こどもにどんな環境を与えるかはとても大事です。
すべての子にあうような万全な環境はありません。
やはり親が選んでいくわけです。

かくいうわたしも、長女のナーサリーを選ぶのを失敗しました。
最初に行ったところは白人の先生で、わたしも「本当にここでいいかな?」疑問を持ちつつ、しかし近さ、便利さと「行ってもらわないと困る」を優先して決めてしまいました。
娘は全くなじめず1週間で「She is not ready(保育園に来る段階じゃないわ)」

といわれ、断られました。退園です。
1ヵ月後に別のナーサリーに行きました。
こちらは中国人の先生で、こどもたちもいろんな人種国籍がいて、でもみんな楽しそうでした。(と私が感じたのです。ここが大事)ここにいれることにしました。
相変わらず娘は泣き続け園長先生に直属に保育してもらうという状況でした。
おまけに娘はハンガーストライキ。保育園にいる間、のまず食わずで過ごしてくるのです。
そのかわり、朝食はおそろしいほど食べていきます。本人納得づくのハンガーストライキなのです。でもここでは私はがんばれました。もちろん先生は心配しましたが、時間を短くしたり、長くしたり工夫し「ママはここ(保育園)が大好き」をアピールしました。
最終的には娘は保育園が大好きになり、今度は帰るのをいやがるくらいになりました。(なぜ好きになれたか、は、また別の機会にお話します)
要は、こどもたちは親の感覚を敏感に感じているということです。
では親はどうやって環境を選ぶか?
わたしは「この子を大好きといってくれるか」がポイントでした。
先生から見たら「他人の子」です。でもこの子がかわいい、この子が大好きだよといってくれる人に託したい。そう思っていました。
ちなみに今年入学した息子の担任が入学式の日に「この子たちのこと、もう好きになりかけています」とおっしゃいました。ほんの数時間しか会っていないのに、です。
こどもたちも当然、先生のことが大好きで今、とてもいいクラスです。

教育の場、保育の場はそうであってほしいです。
「この子がかわいいよ」
こころからそういってくれる環境にこどもたちをおきましょう。
そしてお母さん方が納得し賛同できる環境を選びましょう。
(2010.8.23)