私は毎月産業医として幼稚園に行っています。産業医の仕事には職場巡視という難しい名前のものがあります。要は園内を見回ることです。教室や職員室、廊下の様子、園庭も隅々まで見ます。そうやってうろうろしていると子供たちが声をかけてくれます。「なにしているの?」「なんでいるの?」「びょういんはどうしたの?」「いっしょにあそぼう」など。

 先日は年長さんが虫かごを囲んでいました。「何が入っているの?」ときくと「へびだよ」
といいます。えっ!?と思ってのぞいてみるとどうも大きめのトカゲに見えました。「トカゲじゃないの?」と言ってみました。すると男の子が「へびだよ」とまた言います。「なんでへびだと思ったの?」と聞いてみました。「あのね、トカゲはつかまえるとしっぽを切ってにげるんだよ。これはしっぽがあるからへびだよ」なるほど。そういう事かと思って「へびって足がある?これには足がついているよ」と言ってみました。子供たちははっとしたように虫かごをのぞき、口々に「ほんとだ。足がある。へびじゃない・・・・」そのとき一人の男の子がいいました。「わかった!これはしっぽのつよいトカゲだ!」ほかの子供たちも「しっぽのつよいトカゲだったんだ」と納得した様でした。
 わたしはとても感心しました。トカゲはつまえるとしっぽを切って逃げるからしっぽが付いたまま捕まえられたのはきっとへびだと思ったこと。でもへびには足がないけどこれには足があるからへびじゃないと言われたらちゃんと認められること。トカゲとしたら自分たちの知っているような動きをしなかったから「しっぽの強いトカゲ」と考えたこと。

 自然の中からたくさんのことを学んでいます。考える力もついています。とてもうれしかったので園長先生にもお話ししました。(そのとき「さわっていいよ」とトカゲを出してくれたのですが、私の手が出なかったことはお伝えしていません・・・)
 家に帰ってから娘に話したら「「足のあるへび」にはならないんだね」と言いました。さすがにね。そこはみんな知ってますね!