このコーナーでは、医療を少し離れて、自分自身のことや身の周りの出来事についてお話ししようと思っております。
小児科医の子育てって、どんな風かな?と思う方もいるでしょう。なになに、お母様方とちっとも変わりません。(むしろ失敗が多いかも・・・・)これから数回にわたって、子育て失敗談にお付き合いください。
まず、1回目は息子が3歳のときのことです。
当時、わたしも夫も勤務医でした。勤務医には「待機」という当番があります。これは、なにか緊急事態があったとき呼ばれるけど、基本的には自宅にいてよいという仕事です。
わたしと夫は別々の病院に勤めていましたが、当直をずらすのは当然のことながら、なるべく待機も重ならないように気をつけていました。でも、ある日、どう にも動かせない待機が重なってしまいました。いままでの様子だと、二人が同時に呼ばれることはよほどないだろうと判断して二人ともその当番を受けました。 そういうときにかぎって事件がおきるのです。
夜の11時に呼び出されました。わたしの病院でうまれた調子の悪い赤ちゃんを、夫の病院に送ることになったのです。うちの子供たちはよく寝ています。ふたりとも寝ると朝までたいてい起きません。3歳の長男と3ヶ月の長女をおいてわたしたちはそれぞれの職場へ急ぎました。そして、深夜12時すぎ。仕事を終えたわたしは「遅くなっちゃったし、ビールでも飲んでコロッと寝よう」と思い、途中でビールを買って、それを片手に帰宅しました。マンションの4階の我が家まで、とことこ階段を上っていくと、3階を通ったところで、真下の家の玄関ががたんと開きました。「村松さん、「僕」がいるよ。」ええー!!??びっくり仰天。体裁が悪く手に持ったビールを後ろにして、事情を聞くと、11時半ごろ3階のお宅の玄関をピンポン と鳴らす人がいたと。自分で名前をいい、「おとうちゃんとおかあちゃんがいません。いもうとは寝ているので大丈夫です」といったそうです。奥さんはわたし たちの仕事のことをよく知っていてくださったので、息子と一緒に我が家まで見にあがってくださり、これはふたりとも仕事に行ったのだなとわかったそうで す。「お母さんが帰ってくるまでうちで待っていていいよ」と12時すぎまで待たせていただいたとのこと。感謝、感謝です。
寝たら起きないから・・・なんて大うそ。油断大敵。やはり、いつもと違う気配を感じて気がついたのでしょう。寝ぼけて4階から落ちたとか、火事や地震がおきなくてよかったと後から本当に反省しました。やはり小さい子供だけをおいて、出かけてはいけません。(アメリカなら犯罪。刑務所いきです)それ以後は、絶対に待機も二人がかちあわないようにしました。それから夜間に呼ばれたときに帰りにビールを買うのもやめました。(だってなんだかビールを買うために出かけたみたいじゃないですか!)
こんな失敗を数々重ねているわけです。次回は長女のお話です。
(2008.01.19)