このコーナーでは、医療を少し離れて、自分自身のことや身の周りの出来事についてお話ししようと思っております。

今回は、前回に続き、小児科医の子育、失敗談・・・第2弾!!です。essay18-1

今回は次女の話をしましょう。

次 女が保育園年長に上がった4月に「のびのびこどもクリニック」開院となりました。開院日は4月17日ですが、準備はもっと前から始めます。その準備は、な かなかたいへんなものです。建物を建てて、道具を用意する。従業員をきめて、仕事の説明をする。役所や保健所にいろいろ届けをだす。などなど、ひとつ医院 をつくることは大変なのだなとよくわかりました。あまりに忙しすぎて、彼女の存在を忘れてしまうのです。

essay18-2夕方5時ごろ、職員が「先生、○○保育園から電話です」わたしは「ええー忙しいのに何の用かしら?」全く用件の見当がつきません。電話に出ると「今日のお 迎えは・・・?」そこで、思い出すのです。そうだ、我が子が一人○○保育園に行っているのだった。しまった。本当は3時半にお迎えに行かなくてはならな かったのです。あわててすべて放り出し、お迎えに・・・。こんなことが、お恥かしながら1回や2回ではありません。そのうち診療もはじめると、3時半では 間に合わないとわかり、3時、おやつの時間に早めにお迎えとなりました。次女はおやつを食べられないことに文句はなかったので(次女は食べることに意欲的 ではありませんのでね・・・)早いお迎えはよろこびました。ところがこれも母の都合で、とても早かったり、遅かったり・・・・今日はちゃんと来るかな?と 毎日ドキドキしていたことでしょう。ばたばたと暮らしているうちに、あっという間に1年過ぎ、送り迎えの必要な保育園時代の終わりとなりました。essay18-3

さて、ここまできいて、「お迎えを忘れたことが失敗かな?」と思われたでしょう。それもそうですが、実はもっと根っこは深かった・・・

娘たちは、よくママゴトで「おかあさんごっご」や「保育園ごっこ」をします。耳をそばだてて聞いていると、次女のままごとには必ず「お迎えを忘れるお母さ ん」が出てくるのです。以下ママゴトです。「**保育園ですが、おかあさんですか?○○ちゃんのお迎え忘れていませんか?」「すみません。すぐ行きます」 「おかあさん、忘れないでくださいね」

この、最後の一言がぐさっときます。

そう「おかあさんに忘れられちゃった」ことは心にきずをのこしているのです。

その次女、お父さんが大好き。お父さんは文句なく大好き。

「お父さん大好き?」ときくと即答で「うん、もちろん大好き」

「ママは?」ときくとちょっと考えて「うーん、それはね、あなた次第」

そんなときも、「根っこの深さを実感するのです。今になってもやはり反省。反省。

(2008.04.11)